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臨床検査科 2022(令和4)年度 活動の紹介

1. 診療体制

 臨床検査科は医師2名、臨床検査技師34名、事務助手2名から構成されています。2022年度も検査の精度向上のため各種外部精度管理調査(日本医師会精度管理調査、日本臨床衛生検査技師会精度管理調査、群馬県臨床検査精度管理調査、日本病理精度保証機構外部精度評価)を受審し良好な成績を得ています。臨床検査技師は検体、生理、細菌、輸血、病理など複数の検査部門を習得できるよう業務を横断的配置にして個々のキャリア形成に繋げています。
 2022年度も新型コロナ感染症の流行は続き、通常のPCR検査、迅速PCR検査、抗原定量検査、抗原定性検査としていた従来の体制に加えて迅速PCR検査装置と抗原定量検査装置を1台ずつ増設し体制を強化しました。それに伴い抗原定性検査は廃止となりました。今年度1年間でPCR検査は10,078件、抗原定量検査は12,151件を実施する事ができました。
 各部門において、1)検体検査では日々精度の高い検査データを迅速に臨床側へ報告できるよう努めています。また引き続き検体検査結果に対する臨床判断補助のためのコンサルトに応需しています。検査体制として検体管理加算Ⅳも維持されています。2)生理検査では超音波検査の件数増加に対して業務の見直しや機器・人員の横断的配置により各診療科の要望に応え、また、緊急検査にも可能な限り対応しています。3)細菌検査では前述したSARS-CoV-2検査の充実を始め、ASTの活動により血液培養等の微生物検査数も増加し迅速で的確な起因菌の検出に効果を発揮しています。さらにICT・AST等多職種連携した院内及び院外活動にも積極的に関与し、感染対策向上加算Ⅰ及び指導強化加算に対応しています。4)輸血管理室では血液資源の有効利用と医療安全の面から輸血や血漿分画製剤の安全な供給と適正な管理を推進し、輸血廃棄率は1.1%と低く、アルブミン/RBC比は2.0をFFP/RBC比は0.54を下回り、引き続き輸血管理料Ⅰと適正使用加算を維持できています。5)病理検査では、がんゲノム医療の発展と標的治療薬の進歩から、遺伝子変異を検出するコンパニオン診断等の需要が増加し、そのための標本処理作業が増加しています。
 研修医・看護師・若手臨床検査技師・実習生の教育研修や各科臨床研究の補助についても対応しております。また、関連学会・研究会での発表、講演会・研修会への参加を通じての自己研鑽も積極的に行われています。臨床検査科は今後とも病院の重要なインフラとして、正確で迅速かつ安全な検査の実施に加え、採算項目の院内検査化、保険適用外検査運用の厳格化、必要経費の削減など経営面にも考慮し、効率よく的確な臨床検査業務を通じて病院の健全な運営に貢献していきたいと考えています。

2. 診療実績

1) 外部精度管理
 ①日本医師会精度管理(第56回):98.0点
 ②日本臨床衛生検査技師会臨床検査精度管理調査参加
 ③群馬県臨床検査精度管理調査:群馬県臨床検査値標準化施設認定
 ④日本病理精度保証機構外部精度評価

2) 2022年度病理解剖件数および内訳

3) 2022年度臨床検査件数および点数

3. 臨床研究のテーマ

  1. 臨床各科の臨床研究の検査に関する補助・支援を積極的に行います。
    (十分な精度管理の実施、必要な検査データを提供、検体の分離・保存・搬送業務などの支援)
  2. 日本臨床衛生検査技師会、国立病院臨床検査技師会、群馬県臨床検査技師会に関連した臨床研究を行います。
    群馬県の合同輸血療法委員会、感染対策協議会、検査標準化委員会等の調査研究にも参加します。
  3. COVID19蔓延期における感染症指定病院勤務職員のワクチン接種後のSARS-COV-2抗体の保有状況に関する調査研究に協力します。

4. 研修教育方針

  1. 検査技師養成学校からの臨地実習生を受け入れて教育・技術指導を行います。
  2. 臨床研修医に対する必須技能として超音波検査技術指導および血液型クロスマッチ検査等の手技指導を行います。
  3. 臨床研修医に対するCPCでの病理所見示説指導を行います。
  4. 看護師特定行為研修における超音波検査の実技指導を行います。
  5. 各種学会・研究会・講習会への積極的な参加による研修・研鑽を図ります(別掲論文・学会発表参照)。
  6. 群馬県臨床検査技師会理事、群馬県標準化委員会基幹施設として技師の資質向上を目指します。
  7. 専門・認定検査技師資格取得を推進します。

5. 今後の展望

  1. 臨床各科の要望に対して正確で迅速な検査結果を確実に提供する努力を継続します。
  2. 医療制度・病院経営・教育研修機能をふまえた効率的な病院のインフラとしての機能を果たしていきます。
  3. 以上の各項目を達成するためさらに人的資源の確保・検査機器整備の更新を図ります。
  4. 将来的なISO15189の認定を意識して標準操作手順などのマニュアルの整備を進めます。

病理診断科 2022(令和4)年度 活動の紹介

1. 診療体制

 2022年度は前年と同様、田中優子医師、宮永朋実医師、鈴木文医師の3人常勤病理医と期間医師である小川晃医師の計4名で診療を行っています。公立藤岡総合病院の吉田孝友医師、亀田メディカルセンター乳腺科・病理の黒住昌史医師の応援をいただいています。
 2023年1月に病院情報システムの更新が行われるにあたり、2022年度は業務内容の再点検や今後の病理部門運営に関わるシステムの整備を行いました。
 大きな変更点として、病院情報システムの更新にあわせて、病理部門システム等を改修し、バイオマーカー検査システムの運用を開始しました。バイオマーカー検査システムでは、がんの遺伝子異常の有無や蛋白発現の有無などのバイオマーカー検査に関する業務を病理診断科主体で運営、管理します。利点としては、依頼医は外注検査、院内検査を問わず、電子カルテのオーダリングシステムで依頼するだけで、結果を病理報告書と同様の整理された画面でみることができます。視認性が高く、後日の結果確認が手早くできます。新しい検査の導入も各診療科の責任者のお手間をとらせることなく、スムーズに開始できます。病理診断科医師が適切に病理検体を出検するためトラブルが少なく、検査の成功率も高いです。
 その他の変更点として、研究用標本作製の依頼方法や病理ブロック管理体制を整備しました。
 病理組織診断は患者の治療方針の決定に寄与する重要な業務で、各診療科医師が患者の了解を得て病変部から組織を切除し、病理検査室に提出し、臨床検査科の臨床検査技師が標本を作製し、当科の医師が診断します。複数の常勤の病理専門医が検鏡し、診断を行う事が可能な体制が整備されています。細胞診は、各診療科医師が患者の了解を得て病変部から細胞を採取し、病理検査室に提出し、臨床検査科の臨床検査技師・細胞検査士の標本作製・スクリーニングの後、当科の常勤の医師が診断する体制となっています。剖検は、各診療科医師がご遺族の承諾を頂き、死因の究明や病気の広がり、治療効果の判定を目的として、主治医等の立ち合いのもと、当科の医師と臨床検査科の臨床検査技師で行います。剖検の結果は、全例、病院全体を対象とした臨床病理検討会(clinicopathological conference; CPC)を開催しています。
 精度管理では、日本病理精度保証機構の外部精度評価に参加し、基準を満たしていていることを認証されています。キャンサーボード、乳腺カンファレンスなどへ参加しています。病理診断管理加算Ⅱの算定要件を満たす診療体制を構築し、日本病理学会認定施設、日本臨床細胞学会認定施設です。

●診療方針

  • 病理診断を可及的速やかに報告して、主治医に伝えることにより、今後の治療を円滑にすすめられるようにします。
  • 中央診療部門として、各診療科のお役に立てるように日々努めます。
  • 後世に良質な検体やデータを残すために、情報の入力方式や検体およびデータの管理体制の整備を行います。診療情報管理士と連携し、がん登録およびNCD登録業務への協力を行います。

2. 診療実績

 2022年度は、病理組織診断、細胞診ともに約6500件弱で、前年比で病理組織診断は約5%増、細胞診は約2%増となっています。剖検は4件と目標とする数を割る結果となっています。

3. 臨床研究のテーマ

  • 多施設共同臨床研究などの治療介入研究への協力
  • 希少な脳腫瘍の臨床病理学的、分子遺伝学的解析

4. 研究教育方針

  • 臨床研修医に対し、剖検の執刀、マクロ・ミクロ検討、解剖報告書・スライド作成、CPCの病理所見示説指導を行います。
  • 臨床研修医や医学生の希望者を受け入れ、将来的に進む科の特性にあわせた病理診断業務の研修指導を行います。
  • 各診療科の医師に対し、病理診断の解説を行うことにより、病理診断を適切に臨床応用できる医師の養成に努めます。

5.今後の展望

 当科では、最新の知識の習得に励み、新たな診断技術や疾患概念を積極的に導入し、日常の病理診断に反映させていきます。

臨床検査科・病理診断科